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待機児童ゼロは全国の88% — それでも1歳児で入れないのはなぜか

公開: 2026年9月4日

「うちの市は待機児童ゼロを達成しました」という自治体の発表を見て安心したのに、いざ1歳児クラスを申し込んだら入れなかった。保活でよく聞く話です。この記事では、国が毎年公表する待機児童数(令和7年4月1日時点)を全国1,741市区町村で集計したうえで、当サイトが毎月集めている保育園の空き状況と突き合わせ、「待機児童ゼロ」と「入りやすさ」がなぜ一致しないのかを数字で確かめます。

全国の待機児童は2,254人、市区町村の88%がゼロ

令和7年4月1日時点の待機児童は全国で2,254人。1,741市区町村のうち1,530(87.9%)がゼロで、待機児童がいるのは211自治体だけです。しかもその大半は1桁で、10人以上は72自治体、50人以上は5自治体しかありません。

待機児童数自治体数
0人1,530
1〜9人139
10〜49人67
50〜99人4
100人以上1

待機児童が社会問題として報じられた2017年(全国26,081人)から見ると10分の1以下です。定員の拡大が進み、国の集計上は「保育所に入れない子ども」はほぼ解消したことになっています。

待機児童がいるのはどんな街か

最多は滋賀県大津市の132人で、次いで兵庫県西宮市76人、奈良県橿原市68人、三重県四日市市56人、兵庫県明石市56人、滋賀県草津市48人、東京都世田谷区47人、沖縄県北谷町42人、東京都町田市40人、滋賀県近江八幡市40人と続きます。

都道府県別の合計では東京都339人(29自治体)、滋賀県335人(12自治体)、埼玉県208人、兵庫県199人、大阪府194人、奈良県186人、沖縄県171人、神奈川県138人の順です。滋賀県は19市町のうち12に待機児童がいて、県全体の合計が東京都と並びます。子育て世帯の転入が続く大津・草津・守山・栗東といった湖南地域に集中しており、「待機児童は東京の問題」というイメージとは違う分布です。

「待機児童」の数え方が実感とずれる理由

国の待機児童数は、単に「申し込んだが入れなかった人数」ではありません。こども家庭庁の調査要領では、たとえば特定の保育所だけを希望して他を断っている場合や、育児休業を延長している場合、自治体が案内した他の施設(認証保育所など地方単独事業や企業主導型保育など)を利用している場合は、待機児童に含めない扱いが認められています。

つまり「通える範囲の園に空きが無く、やむを得ず育休を延長した」家庭は、統計上は待機児童ではないことがあります。この扱いは全国共通のルールなので自治体の恣意ではありませんが、待機児童ゼロが「希望者が全員、希望の園に入れた」を意味しないことは押さえておく必要があります。

「4月1日時点」という集計の性質

もう1つの理由は集計の時点です。待機児童数は年度の初日である4月1日に数えます。4月は進級で定員がいっせいに空き、1年で最も入りやすい時期です。一方、育休明けの多くは子どもの誕生日に合わせた年度途中の入所を希望しますが、途中入所の枠は退園が出ないと生まれません。4月1日にゼロでも、その年の10月に入れる保証はどこにもありません。

年齢によっても事情が違います。0歳児クラスは4月の時点でまだ生まれていない子が多く枠が残りやすいのに対し、1歳児クラスは0歳児クラスからの持ち上がりで枠がほぼ埋まったところに、育休明けの申込が集中します。

毎月の空き状況で見ると、1歳児の空きは1割前後

当サイトは23自治体について、自治体が毎月公表している園ごとの空き状況を収集しています。ここでは待機児童ゼロの政令市を中心に、2026年7〜8月に公表された分(多くは9月入所分)で「1歳児を受け入れている園のうち、空きのある園の割合」を計算しました。比較のため3歳児も並べています。

自治体待機児童(R7.4.1)1歳児に空きのある園3歳児に空きのある園
横浜市012%(149/1215園)40%(370/936園)
大阪市09%(73/827園)28%(167/587園)
川崎市014%(77/547園)43%(210/486園)
さいたま市06%(34/529園)38%(134/350園)
神戸市024%(110/459園)28%(95/335園)
京都市024%(97/400園)25%(71/285園)
千葉市08%(28/349園)17%(53/303園)
世田谷区473%(9/283園)45%(100/222園)
練馬区03%(8/249園)38%(76/200園)
北九州市011%(29/263園)6%(15/263園)

「空き」の意味は自治体ごとに違います(横浜市は1日時点の受入可能数、川崎市・北九州市は9月入所分の受入可能数、神戸市・京都市は記号で公表するため「空きなし」以外の記号が付いた園を数えました)。北九州市は出典が「受け入れていない」と「空き0人」を区別しないため、全園を受入園として数えています。各自治体の数え方は別の記事にまとめています。

待機児童ゼロの横浜市で、1歳児に空きのある園は1,215園のうち149園(12%)。さいたま市は6%、練馬区は3%、千葉市は8%です。一方3歳児は横浜市40%・さいたま市38%・練馬区38%と、同じ街でも年齢で天地の差があります。「待機児童ゼロ」の街でも、年度途中に1歳児クラスへ入れる園は10園に1園あるかどうかというのが、園ごとのデータが示す実態です。

神戸市・京都市の24%は他より高く見えますが、記号で公表する自治体では「△(1〜2人)」も空きありに数えているため、人数で公表する自治体と単純には比べられません。

自分の街で確かめるには

保活で見るべきは年1回の待機児童数ではなく、希望する年齢クラスの、通える範囲の園の、毎月の空きです。当サイトの自治体ページ(収録23自治体)では、園ごと・年齢ごとの空きを地域別に見られ、出典の公表日と「空き」の定義を必ず併記しています。

  • 空き状況を収録している自治体の一覧から、自分の街のページを開く
  • 希望する年齢クラスで「空きのある園 / その年齢を受け入れている園」の行を見る(人数の自治体も記号の自治体も同じ意味になる唯一の指標です)
  • 数か月分を見て、空きが出る園・時期の傾向をつかむ(公表は月1回で、翌月には消える情報です)

待機児童数そのものは、全国1,741自治体のページに定員・申込者数とあわせて載せています。お住まいの自治体は都道府県の一覧から辿れます。

この記事の出典

記事中の数値は執筆時点の集計です。制度は年度途中でも改定されるため、実際の適用は必ず各自治体の公式情報でご確認ください(免責事項)。

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