読みもの / 保活・制度の読み方
保育園の「空き」は自治体ごとに意味が違う — 23自治体の公表ルール一覧
公開: 2026年9月4日
当サイトは23自治体・約8,200園の保育園の空き状況を毎月集めています。作業をして分かったのは、「空き」という言葉が指す数字が自治体ごとに違うことです。いつ時点の、何の人数なのか、空欄は何を意味するのか。これを知らずに「A市は空きが多い」と読むと間違えます。この記事では、23自治体の公表資料を実際に読み込んで整理した公表ルールをまとめます。
人数で公表する自治体と、記号で公表する自治体
23自治体のうち16は空きを人数で公表しています。残る7自治体(千葉市・神戸市・京都市・新潟市・静岡市・岡山市・宇都宮市)は◎○△×のような記号だけで、人数は公表していません。
記号の自治体は、同じ「○」でも意味が違います。凡例を並べると、岡山市と京都市の○は「3人以上」、新潟市は「4名以上」、神戸市は「3〜5人」(6人以上は◎)、千葉市は「数名」で人数の定義がありません。静岡市の○は「余裕あり」、宇都宮市は「受入れの可能性があります」です。当サイトは記号を人数に読み替えることをせず、自治体ごとの凡例をそのまま画面に出しています。
記号の中には「空きの段階」ではないものも混ざります。京都市の「要相談」、静岡市の「※直接園にお問い合わせください」、新潟市の「ー(受入対応しておりません)」は空きの多寡を表さないので、当サイトの集計から除いたうえで注記しています。
いつの空きか — 今日の空きと、翌々月の募集は別物
「空き」がいつの状態を指すかは、大きく3通りに分かれます。
- 公表時点の受入可能数(横浜市・さいたま市): 毎月1日時点でその園が受け入れられる人数。「いま何人入れるか」に最も近い数字ですが、申込の結果は反映されていません
- 翌月入所分の募集・予定数(世田谷区・港区・練馬区・杉並区・足立区・広島市・つくば市・船橋市・堺市・大阪市・川崎市など): 翌月1日の入所に向けて自治体が募集する人数。堺市は「直近の利用調整後」、広島市は「入所分の入園可能人数」と、選考前か後かも自治体で違います
- 翌々月入所分(川口市・北九州市・神戸市): 川口市は毎月25日に翌々月分を公表し、神戸市は7月中旬に9月入園の受入予定を出します。「9月の空き」が7月のデータ、という時間差があります
静岡市はさらに特殊で、選考が終わったあとの残り枠を記号で公表します。出典自身が「9月選考以降の受入可能数とは必ずしも一致しない」と断っています。
時点が違う数字を同じ月の値として並べると、実際には募集が終わった枠を「空きあり」と読んでしまいます。当サイトが各自治体ページに「空きの定義」と「公表日」を必ず併記しているのはこのためです。
空欄は「0人」か「受け入れていない」か — 自治体で逆
保活で一番重要で、一番読み違えやすいのがここです。空き状況の表には数字の無い欄がありますが、その意味は「空きが0人」と「そもそもその年齢を受け入れていない」の2通りあり、どちらかは自治体の凡例を読まないと分かりません。
- 多数派: 空欄・「-」・斜線・網掛けは「そのクラスが無い」。0人なら「0」と書かれる(横浜市・さいたま市・川崎市・大阪市・堺市・川口市・杉並区・つくば市・静岡市・新潟市など)
- 逆の自治体: 空欄が「空き0人」で、塗りつぶしや斜線が「クラスが無い」(練馬区・船橋市)。練馬区の凡例は「空欄は空きがないことを表しています。黒塗りの欄については、当該クラスの保育を実施しておりません」
- 区別できない自治体: 北九州市は「受入可能児童数が0人の場合は非表示」で、空欄が0人なのか受入なしなのかを出典から判別できません
当サイトのデータでは、この2つを厳密に分けて「受け入れていない」は空欄(null)、「空き0人」は0として持っています。堺市のように、PDF版では書式設定のせいで0が空白として印刷され、Excel版でしか区別できない自治体もありました。同じ内容のExcelとPDFが並んでいるとき当サイトがExcelを読むのは、この区別を守るためです。
杉並区のように、「-」は募集なしと凡例にあるのに、空欄の意味は凡例に書かれていない自治体もあります。そうした欄は当サイトでは推測で埋めず「読み取れなかった年齢」として注記しています。
「募集0人」でも申し込める — 数字は見込みである
足立区と川口市の資料には、募集人員が0人でも申し込みはでき、「今後の退所等により空きができることがある」と明記されています。つくば市は「現時点での見込みの数」、船橋市は「作成日時点の予定人数」、岡山市は「施設への確認時点」と断っています。空き状況はどの自治体でも公表時点のスナップショットで、退園・転園があればすぐに変わります。
したがって「0だから申し込まない」は早計ですし、「2人空いているから入れる」も確実ではありません(同じ枠に複数の申込があれば利用調整で優先順位が決まります)。空き状況は候補の園を絞るための情報であり、入園の可否を決める情報ではありません。
集計値しか載せられない自治体・期間限定でしか公表しない自治体
浜松市は、市の公式冊子が認定NPO法人の運営するサイトを公表媒体として指定していますが、そのサイトは自らの著作権を主張しています。園ごとの表をそのまま転載することはできないため、当サイトは区ごとの集計値(空きのある園の数など)だけを載せ、園別は原典へのリンクに委ねています。
北九州市は入所月ごとに5〜8日間しか資料を公開せず、期間外は配布URLそのものが消えます(たとえば9月入所分は7月30日〜8月5日)。当サイトは公開期間に取得できた版を、取得できなかった月は前回の版を「公表日」つきで残しています。公表日が古いままの月は、そういう事情です。
自治体をまたいで比べられる唯一の指標
ここまでの違いがあるため、空きの「人数の合計」を自治体間で比べることには意味がありません。人数と記号では次元が違い、時点も定義も違うからです。
当サイトが横並び比較に使っているのは「その年齢に空きのある園の数 / その年齢を受け入れている園の数」だけです。人数の自治体では1人以上、記号の自治体では「空きなし」以外の記号が付いた園を「空きのある園」と数えます。これなら人数・記号のどちらでも同じ意味になり、「受け入れていない園」を母数から外せます。この指標を使った実例は待機児童の記事にあります。
23自治体の公表ルール一覧
以下は当サイトが各自治体の出典から読み取った「空き」の定義と、記号の自治体の凡例です。この表だけは月次更新に合わせて自動で最新の版に置き換わります(公表日の列でご確認ください)。
| 自治体 | 形式 | 「空き」の定義(出典の記述) | 公表日 |
|---|---|---|---|
| 横浜市1,242園 | 人数 | 毎月1日時点の受入可能数 | 2026年8月1日 |
| 大阪市878園 | 人数 | 2026年9月の途中利用可能人数(各区が2026年8月1日現在で公表したもの) | 2026年8月1日 |
| 川崎市579園 | 人数 | 令和8年9月入所分の受入可能児童数(予定) | 2026年7月27日 |
| さいたま市543園 | 人数 | 毎月1日時点の利用可能人数 | 2026年8月1日 |
| 神戸市513園 | 記号 | 2026年9月入園の受入予定(◎○△×の4段階)× 0人 / △ 1~2人 / ○ 3~5人 / ◎ 6人以上 | 2026年7月14日 |
| 京都市430園 | 記号 | 2026年9月分の受入枠(×△○の3段階)× 0人 / △ 1~2人 / ○ 3人以上 | 2026年8月3日 |
| 千葉市377園 | 記号 | 各園の受入可能状況(◎○△×の4段階)× 空きなし / △ 若干名 / ○ 数名 / ◎ 余裕あり | 2026年8月3日 |
| 広島市338園 | 人数 | 2026年8月入所分の入園可能人数 | 2026年7月1日 |
| 世田谷区301園 | 人数 | 翌月1日入園可能予定数 | 2026年8月1日 |
| 練馬区296園 | 人数 | 令和8年9月入園分の空き数(公表時点)。出典の凡例により、空欄は「空きがない」(0人)、塗りつぶしは「当該クラスの保育を実施していない」(掲載なし)。「産」表記は産休明け保育の定員であって空き数ではない。年齢が共通の欄はその年齢クラス合計の空きで、年齢別には振り分けていない。 | 2026年8月3日 |
| 新潟市274園 | 記号 | 作成日現在の受入可能状況(○△×の3段階)× 空き無し / △ 1から3名の空き / ○ 4名以上の空き | 2026年7月18日 |
| 足立区270園 | 人数 | 令和8年8月入所募集分の「クラス別募集人員」(翌月入所分)。出典の注記により、募集人員が0人でも申し込みはできる。「----」「-」はそのクラスの募集が無いことを表し、0人とは区別している。認定こども園は出典が地区別に分類していないため、地区の代わりに施設類型を表示している。 | 2026年7月1日 |
| 堺市269園 | 人数 | 2026年9月1日入所の新規利用可能予定数(直近の利用調整後) | 2026年7月31日 |
| 北九州市263園 | 人数 | 令和8年9月入所の利用調整において実際に入所することができる人数(公開日時点の予定・年齢はその年度の学齢。出典の空欄は0人を表し、その年齢を受け入れていない施設と区別できません) | 2026年8月3日 |
| 杉並区235園 | 人数 | 令和8年9月入所分の募集予定人数。出典の凡例により、「-」は当該クラスの募集が無いこと(掲載なし)を表し、0 は募集予定人数が0人であることを表す。在園児の退園により新たに空きが生じた場合も利用調整の対象となる。 | 2026年7月31日 |
| 静岡市219園 | 記号 | 令和8年8月入園選考の受入可能数から同選考の入園内定者数を引いた空き枠の状況(◎○△-の4段階)。9月選考以降の受入可能数とは必ずしも一致しない- 受入枠なし / △ 残りわずか / ○ 余裕あり / ◎ 十分余裕あり | 2026年7月17日 |
| 浜松市207園 | 集計のみ | 年度途中入園の募集人数(令和8年9月の募集・2026年7月17日時点) | 2026年7月17日 |
| 岡山市205園 | 記号 | 2026年9月利用分の受入見込み状況(施設への確認時点)× 受入れは難しい / △ 1~2人 / ○ 3人以上 | 2026年7月23日 |
| 川口市200園 | 人数 | 令和8年度9月分の募集予定人数(毎月25日に翌々月分を公表)。出典の注記により、募集予定人数が0でも今後の退所等により空きができることがある。空欄はそのクラスの募集区分が無いことを表し、0人とは区別している。 | 2026年7月27日 |
| 船橋市190園 | 人数 | 令和8年9月利用調整における受入れ予定の児童数(出典の注記により作成日時点の予定人数) | 2026年7月17日 |
| 宇都宮市170園 | 記号 | 令和8年9月の宇都宮市内の教育・保育施設等の受入れ状況(公表時点の目安・年齢は年度当初(4月1日)時点の学齢。「利用できません」はその年齢を受け入れていないことを表します)× 受入れがありません / △ 若干の受入れの可能性があります / ○ 受入れの可能性があります | 2026年7月24日 |
| つくば市119園 | 人数 | 令和8年9月入所用の募集数(出典の注記により現時点での見込みの数) | 2026年7月27日 |
| 港区113園 | 人数 | 令和8年9月入所に向けた空き状況 | 2026年7月16日 |
各自治体のページでは、この定義と出典へのリンクを園別の表の上に出しています。収録自治体の一覧からご覧ください。
この記事の出典
- 各自治体が公表する保育園の空き状況(当サイトが毎月収集している23自治体)(各自治体の出典URL・利用条件は自治体ページの出典欄に記載)
記事中の数値は執筆時点の集計です。制度は年度途中でも改定されるため、実際の適用は必ず各自治体の公式情報でご確認ください(免責事項)。